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【記者コラム】新田祐大 激走でパリ五輪にエールを

 経験したことのない40度に迫る猛暑が続いている。選手はレース前は首に巻く保冷剤を使用したりアップの時間を調整したりとさまざまな暑さ対策を取り入れている。それでも一番多かったのは「とにかく次の日に疲れを残さないようにしっかり寝ます」だった。

 厳しいコンディションが続く中、次のGⅢは8日からの松山競輪「施設整備等協賛競輪 道後温泉杯争覇戦」。13日から平塚競輪GⅠオールスターが始まるのでSS班選手が不在の〝裏開催〟。その中であれっという名前が新田祐大=写真=だ。4人目となるGⅠ全てを制したグランドスラマーで、自転車競技でも輝かしい成績を残してきた。オールスターに出られない理由は、2月全日本選抜で先頭誘導員早期追い抜き失格による長期欠場にある。6月に復帰してから優勝こそないが、随所で爆発的なパワーを見せて健在をアピールする。格が違う選手の登場で、シリーズは新田の独壇場になる。

 以前は全てにストイックで、近寄りにくい雰囲気があったが、今はレース後のインタビューで時にジョークが出るなど、レースを楽しんでいるかのような印象がある。若手の躍進は著しいが、それを力で受け止める。7月サマーナイトフェスティバルを連勝で勝ち上がった時のファンからの声援は絶大だった。

 東京五輪ではスプリントとケイリンに出場したが、結果を残すことはできなかった。自転車競技を引退してからは競輪に専念するが、競技と両立する選手の手本になっている。ちょうど松山開催の時に、新田からバトンを受け継いだ太田海也、中野慎詞がパリで本番のレースを迎えることになる。どんな思いで彼らの勇姿を見つめるのか。猛暑を吹き飛ばす激走を見せてパリにエールを送る。

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